サイファイ・カフェSHE 札幌




この試みでは、長い科学の歴史の中で人類が何を考え、何を行ってきたのかについて毎回一つのテーマを選び、講師が私的なプリズムから見える世界を提示します。そこでは科学の成果だけではなく、その背後にどのような歴史や哲学があるのかという点にも焦点を当てます。その世界を基に参加者の皆様が考えを巡らせ、その交換を行うことにより新たな理解に辿り着くことを目指しています。そして、最終的に人間という存在の理解、自らの深化、変容に繋がることになれば素晴らしいと考えています。 

これまでは東京で開催していた会ですが、2016年3月から札幌でも開催することに致しました。テーマの面から見れば、生命に関わる問題が重要な位置を占めることになると思います。ご理解、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。


これまでのカフェのまとめ

第1回 2016年3月2日 (水) 

第2回 2016年11月8日(火)
ポスター

第3回 2017年6月3日(土)

 ------------------------------------------------

  第4回サイファイ・カフェSHE札幌のご案内


テーマ: あるべき内的生活を考える

これまで「科学と哲学」、「遺伝子」、「治癒」を取り巻く問題を取り上げて来ましたが、第4回はわれわれ現代人に欠けていると思われる内的生活について考えます。科学的なベースとして、一見何もしていないベースラインでの脳のエネルギー消費量が何かの仕事をする時に比べて圧倒的に多いという発見から明らかになったデフォルトモードネットワーク(DMN)、さらにマインドフルネスという過程を振り返った後、瞑想と呼ばれる精神活動との関連や内的生活における瞑想の意味について考えます。そこからあるべき内的生活の姿が見えてくるでしょうか。このテーマに興味をお持ちの方の参加をお待ちしております。

日時: 2017年10月6日(金) 18:30~20:30

会場: 札幌カフェ 5Fスペース  

札幌市北区北8条西5丁目2-3 
http://sapporocafe.co.jp/


参加費: 一般 1,000円、学生 無料
(飲み物は各自ご用意ください)


会の終了後、懇親会を予定しております
お時間が許す方は参加していただければ幸いです


(2017年7月14日)


会のまとめ

今回は、内的生活をどのように捉え、どのように充実させていくのがよいのかについて考えることにした。その大きな理由は、われわれの中に精神生活を重要なものとして考えるところが弱いように見えることであった。それは個人レベルだけではなく、社会や国のレベルでも観察されるもので、その欠落がいろいろな不利益の原因になっていると考えたからである。講師の10年に及ぶフランスでの無為の生活の中で気付いた点を中心に紹介し、そこから現段階における内的生活の一つの形を提案した。
第一に、これまで提唱していた意識の三層構造モデルを用いて、日常生活で使われる第1層と職業生活で使われる第2層に留まりがちな生活では精神生活が浅く貧しいものにしかならないこと、その上でこの二層を超えた全的生活が占める第3層を広げ、充実させることが必要になることを指摘した。そこでは、瞑想や省察が有効な方法となる。それは無を目指すものではなく、記憶の中を縦横に歩き回り、繋がりを探すのである。その過程で自己と親しく付き合い、そこから何か一つの纏まりを持った考えの塊を導き出すことになる。この層の開拓は「考える葦」である人間に課せられた義務として捉えることが求められるだろう。それは人生の目的と言ってもよいものである。
第二に、第3層の充実には時間をたっぷり取って自らを振り返る瞑想や省察が有効である。西欧ではジョン・カバット・ジン博士が無宗教の瞑想として広めたマインドフルネスがあるが、これは「いま」の経験に注意を集中してこころを開き、ネガティブなものも受け入れる姿勢が求められる。そして、その中に入り込むのではなく、少し離れて対応することが重要になる。このプログラムを実行することで、疼痛の治療やストレスや不安の軽減、免疫の増強、うつ病再発の予防、さらに長期的には心血管系の改善も齎すという。また、瞑想によりデフォルトモードネットワークと統御に関与する領域との機能的な結合性が増強されるという報告もある。
それから、瞑想と深い関係があるストア哲学についても簡単に振り返った後、ディスカッションに入った。充実した内的生活を送るには仕事から離れた暇な時間が不可欠になる。講師はその時間に恵まれているが、仕事をしている人はどのようにその生活を手に入れればよいのか、あるいは意識の三層構造で言えば、それぞれの層のバランスをどのように取ればよいのかという社会人としての悩みや問題点が指摘された。これに対しては、上で述べたような内的生活の重要性を意識していること、その上で少しでもその実現に向けた努力を惜しまないことなどの助言しか思いつかない。
忘れてならないのは、瞑想や省察の前には生の経験がなければならないことである。つまり、静は重要ではあるが、動を軽視してはならない。動の蓄積にも生き生きとした哲学を生み出す力があるのではないだろうか。
今回は直前で急用のため参加できなくなった方がおられたが、岐阜から着いたばかりで空港から駆けつけてくれた若者もいて、議論も盛り上がっていた。それは懇親会においても衰えることはなかったようだ。次回も若手の参加を期待したい。お忙しい中、参加して議論に加わっていただいた皆様に改めて感謝したい。


参加者からのコメント

● 昨日は楽しい時間をありがとうございました。都合にてその後の交流会に参加できず、とても残念に思いながら帰宅しました。意識の三層構造、ストア学、内的生活、瞑想、、、という視点を知り、今朝の目覚めからの日常生活が少しだけ別の視点から感じられているようです。どうもありがとうございました。次回も楽しみにしております。
● 一昨日は会を欠席して大変残念でした。次回を楽しみにしています。
● 「意識の第3層構造」が理解しやすく、講演後のディスカッション、懇親会での一番のテーマになっていました。生きていく上で、この第3層構造をふまえていくこと ー これだけでも今回の参加の意義があったと感じています。
オーギュスト・コントの “人間(人類)の神話的段階から実証的段階” への線的な発展仮説は、明らかに現在の科学偏重の弊害を招いている。そこで “科学の形而上学化” の提唱は大いに共鳴するところであります。そして、さらに科学がさらに一神教、多神教、神話的世界へと逆遡行してこれらをも包含していこうとする場合には、minimal cognition(アニミズム的世界?)のテーマにも重なってくるのではないかと思います。
ストア派、エピキュロス派はともに一見対極の学派のようで、実は 精神の平穏を追求するという点では共通しているとの話、興味深く拝聴しました。
● 先日はありがとうございました。普段に無い体験をさせて頂きました。タイミングが合えば、また参加したいと思います。知人に誘われての、気まぐれの参加でした。今回の会の骨子となるのは、生活を日常生活、仕事生活、内省的生活の三層構造に分類し、私たちがおざなりにしがちな内省的生活を日常生活に再び組み込み直すという試みだったかと思います。私自身、仕事に忙殺され、心身共に疲弊していた時期であったため、内省がもたらす穏やかな気づきと喜びというものを永らく忘れていた事に気づかされました。人生における一過性の実験に留まるかもしれませんが、暫く瞑想を行い、内省する事でしか気づき得ない事を体験してみたいと思います。
● 先日はありがとうございました。哲学カフェには初参加でしたが良い刺戟を受けました。各テーマが分かりやすく纏められており、短い時間でしたが有意義な時間でした。次回を楽しみにしております。ありがとうございました。


フォトギャラリー





(2017年10月6日)