5.8.12

ミシェル・オンフレさん、自らの大学の理念を語る

Michel Onfray(1959-)
(Autrement, 2012)


現代フランスの哲学者ミシェル・オンフレさんの理性を大衆に広めるというタイトルの本を読む。彼がノルマンディーのカーンに開いた大衆大学が10年を迎えたのを機に、この大学の特徴を語っている。
Université populaire de Caen (2002-)

それは体制のために従順に働く、規範に沿う人間を作るための大学と対極にあるもの。駄弁りの場所ではなく、対話型の教育の場である。自由主義が支配する指標を失った時代に求められている哲学を提供するところではない。そうではなく、民主的で絶対自由主義の回答がこの大学である。

そこではソクラテスがやったように、人をどこか別のところ、より遠いところ、より高いところに導く。知識を増やし、認識を高め、智慧を強化し、自己を作り上げる。

オンフレさんから見ると、マルク・ソテさん (Marc Sautet, 1947-1998)の始めたカフェ・フィロは批判の対象でしかない。哲学に対する考え方、そのやり方が明らかに異なっているからだろう。

人生と作品、人間と思想、理論と実践を別のものとするのではなく、相互を絡み合わせること。賢者になることではなく、それぞれの存在にできるだけ知恵を注ぐこと。哲学者の証明は、哲学的に生きるかどうかであり、それ以外の社会的装飾は関係がない

ジョン・ハロウェイ(John Holloway, 1947-)というアイルランドの社会学者がいる。その著書に Change the World Without Taking Power (2002)がある。権力を取らずに世界を変えること、上からではなく下からの革命。それこそが、エピクロスが学園でやろうとしたことであり、オンフレさんが大衆大学で提唱していることだという。

(2012年10月10日)